みなさんこんにちは!今回は中国での食文化やお酒のマナーをご紹介します。幼少期から中国を行き来していたエリ(仮名)さんに、中国の食文化やマナーについて話を伺いました。
中国での駐在生活では、中国の人と一緒に食事に出かける機会もあると思います。そんなときに、食事やお酒のマナーを理解しているだけで、すぐに仲良くなれたり、認められたりすることもありますので、ぜひチェックしてみてくださいね!
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目次
そもそも中国では北方と南方の地域で文化が全然違う
私は母親が中国人で幼少の頃から中国を行き来しており、ハルピンに2年間滞在をしておりました。その時の経験・体験をお伝えできたらなと思います。お酒のマナーや食事のマナーなどビジネスで渡航される方はお役に立てると思います。
①中国における北方と南方とは?
みなさんが中国に駐在や旅行に行く時、もしくは中国人と関わるときは、訪れる場所や中国人の出身地をしっかりと確認してください。同じ中国でも全く文化が違います。
中国では日本でいう西日本、東日本と地域で分けられているように中国でも北方と南方で大きく区別されています。一般的には長江より北を北方、南江を南方と分けられています。正確には歴史や民族、言語などありますが、分かりやすくこの差を簡潔に表すと寒いか寒くないかです。
例えば、日本でも北海道などの北の地方と南の地方では気候が全然違いますね?そのため地方によって取れる農作物が全然違います。北海道は寒い気候のためジャガイモなどの根菜類が多く、南の方では湿度が高く暖かいため葉野菜が採れます。中国でも北方では寒い気候なため根菜類が多く採れ、南方では湿度が高く暖かいため葉野菜や香辛料の素材が多く採れます。
私の住んでいたハルピンは北方の中でも北東地方なためにすごく寒いです。そのため北海道でも多く見られる二重の窓などの寒さ対策された建物が多いです。ハルピンの冬はすごく寒く家から出たくありませんでした。
北方と南方での食べられる食文化の違い
①採れる食材が違えば食文化も違う
日本では地域によって違いがある郷土料理がありますよね。この郷土料理の違いはその地域で採れる食材が違い、気候が違うがためだと言われております。
中国でも北方と南方によって料理に違いがあります。細かく言えば省(広東省や北京市など)によっても料理の違いがありますが今回は北方と南方で紹介させていただきます。
②北方と南方では料理に使用する油の量が全然違う
北方と南方での大きな違いは、ズバリ調理で使う油の量です。
どういうことかというと南方の調理方法は和食のように素材を生かす調理方法が多く、スープや海鮮料理、蒸した料理などが多いです。その他にも出汁を使った料理も多いです。そのため油を使用する量が少ない中華料理が多いです。
さらに日本でよく食べられる中華料理は南方の地域の広州や香港などの省のいわゆる広東料理が多いです。広東料理の代表格はフカヒレスープやシュウマイ、酢豚、ワンタンなどです。これは日本人のお口に合う料理だったため日本に浸透したと思われます。
では、北方の料理はというと、南方と真逆で油を多く使う中華料理が多いです。これは気候的に乾燥しており肌などが乾燥しないように野菜などを多量の油で一気に炒めて摂取して補うためと言われております。
その他にも北方になるほど味付けなども濃く、塩辛く、油っこくなります。そのため同じ中華料理でも全然違います!その他にも羊肉(ラム肉)を食べる事が多いです。羊肉のしゃぶしゃぶや羊肉にさまざまな香辛料(胡椒みたいなものが多かった)をまとわせて炭火で焼いた焼き鳥のような感じの羊肉の串焼きなどがあります。
私はこの羊肉の串焼きが大好きでよく食べていました。帰り道の途中にある出店で買って帰って食べていました。そして食べ終わったら串を自分で返却をしなくてはなりません!
これは私が住んでいた地域だけかも知れませんが刺さっている串はBBQで使う金属の串でした。そのため返さないと帰り道に出店の人に会ったら「串返して!」と言われます笑
この文化が共通かどうかは分かりませんが金属の串のときは自分で返却しに行くか、その場で食べて返してください!
以上より北方の料理は日本では馴染みがほとんどないために味を表現するのが難しいです。つまり日本人からしたら未知の味と言っても過言ではありません。本場の中華料理は好き嫌いがはっきり分かれますので色々と挑戦してみてください!
北方でよく食べられる中華料理(家庭料理)
私自身ハルピンや大連に住んでいましたが北方料理はクセが強いです。そのため私は好き嫌いが多かったです。その中で大衆レストランや家庭の食卓でよく出される北方の中華料理の感想を踏まえて紹介させていただきます。
①「红烧鲤鱼」(ホンシャオリィー)
一つ目は「红烧鲤鱼」(ホンシャオリィー)と呼ばれる中華料理です。つまりは鯉の煮付けです。鯉を油で揚げてから、日本でいう醤油のような中国の醤油で味付けして餡かけにした料理です。味としては酢豚のような甘酢のような味や濃い口の醤油の塩辛い味があります。
②「猪肉炖粉条」(ジュオロウ デュン フェンティアオ)
二つ目は「猪肉炖粉条」(ジュオロウ デュン フェンティアオ)と呼ばれる中華料理です。これは豚肉の春雨の煮物です。この料理は角切りの豚バラ肉を油で揚げて春雨と中国の醤油で味付けし八角などのスパイスを加え煮込んだものです。
感想ですが、私はこの料理もすごく苦手でして特に八角の独特の匂いが苦手です。この八角は北方の中華料理では欠かせないスパイスでして日本人は好き嫌いがはっきり分かれるものです。この八角が苦手な方は北方では少し苦労するかもしれないですので、自分が食べられる中華料理を見つけることをお勧めします!
③「东北锅包肉」(ドンベイ グオ バオ ロオ)
三つ目は「东北锅包肉」(ドンベイ グオ バオ ロオ)と呼ばれる中華料理です。これは豚の唐揚げに甘酸っぱい餡かけをかけた中華料理です。パクチーと一緒に食べたりします。酢豚と味はほとんど一緒です。
感想ですがこれは美味しかったです!ほとんど酢豚なので日本人でも受け入れやすい味付けだと思います。外側はパリパリで中はしっとりと柔らかい唐揚げに甘酢餡が絶品です。是非、これは食べてみてください。
④「杀猪菜」(シャー ズウ クワイ)
4つ目は「杀猪菜」(シャー ズウ クワイ)と呼ばれる中華料理です。これは日本ではすき焼きのようなポジションの定番の鍋料理です。お祝いなどで食べられます。具材は白菜の漬物がスープのベースで豚肉の油(ラード)と豚の薄切り肉、豚の血で作られたソーセージです。この料理で1番に目を引くのが豚の血のソーセージだと思います。このソーセージは北方の田舎の方では家庭で豚を飼っているとこが多く、親戚などが屠殺したての新鮮な鮮血で作ったものを送ってくれたり、鮮血を冷凍したものをもらって作ったりします。私も幼少の時に作った思い出があります。でもソーセージを食べるのは今でも抵抗があります笑
料理自体の味付けは白菜の漬物がベースなだけに酸っぱいです。この表現が難しく日本には無い味付けです。この酸味が油っこさを和らげて豚の旨味がたっぷりのスープが美味しいです。これは北方に行ったら是非食べてみてください。
以上が北方でよく見る中華料理です。まだまだ紹介しきれてないものも多いですが、実際に行った時に色々と試してみてください。北方と南方で大きく味付けも調理方法も違うのでビジネスシーンで会食や旅行などでお店を選ぶ際に参考にしてみてください。
駐在者必見の中国でのテーブルマナー
①中国での食事のマナーは日本とほとんど一緒
お仕事で中国に行かれるかたは特に気になるビジネスシーンでの食事のマナーですが、日本との違いはほとんどありません。もともとの歴史で日本は中国からの影響を大きく受けたこともあり、似ている要素が多いと思われます。
例えば席順などですが、目上の方や立場が上の方が奥から座るのは中国でも一緒です。他にも乾杯から始まり、目上の方が食べ始めるまで自分は食べないなども日本と違いはありません。
その為、日本人でマナーに苦労することはあまりないかと思います。
②回転テーブルのマナーはタイミングが大切
中国ではよく見かける回転テーブルですがレストランではほぼ必ず見かけますし、家庭でも多いです。その為、中国ならではのマナーがあります。しかしマナー自体は難しいものではありません。
難しいのは料理を取るときのタイミングがとても大事です。料理を取るタイミングですが、基本的に回転テーブルは誰かがゆっくりと回します。この時に自分の前で止まった料理を基本的に取っていきます。
自分が回すときは静かに悟られないように回さないとダメです。少し言い過ぎてはいますが、要するに不愉快にならない程度のスピードと頻度で回すことが大事です。
この頻度ですが、自分が食べたいものを取るために毎回クルクルと回転させるのは相手方に不愉快に思われてしまうため、誰かが回したタイミングや自分で回したりして食べる料理を取っていきます。
そして料理を取るときは一口で食べる量だけを取ります。一気に沢山取るのは下品と見られるのでマナー違反になりますので少しずつ取って食べてください。
以上がマナーになりますがお箸を使う文化など日本の文化と基本的には似ているので日本での食事のビジネスマナーを習得していたら基本的には問題ありません。
中国でのお酒の飲み方
①食文化と同様で北方と南方で飲み方が全く違う
中国で中国人の方とお酒を飲むときは地域を意識してください。食文化のところで触れましたが北方と南方で文化全然違います。そして飲まれるお酒もまた違います。先程も言いましたが大きな違いは寒いか寒くないかです。気候が違えば採れる農作物も違うので作られるお酒も違います。
例えば、南方の人たちは食事の時にお酒を一緒に飲みます。おつまみを食べながらお酒を飲むわけではないので南方の料理は辛いお酒が進むおかずが多いです。そのため飲まれるお酒も食事が進むビールが多いです。
北方に人たちは、お酒さえあればという感じです。ひまわりの種やピーナッツだけでお酒を飲みますし、無ければ塩だけでも飲みます。寒い地域なので度数が高く辛口なお酒を好んで飲まれています。
②北方ではお酒をすごく勧められる
北方では、日本の的な感じでお酒を凄く勧められます。しかも北方の方は大きいコップでお酒を飲みます。そしてチョビチョビ飲むのは失礼に値するので基本はグビっと一気に飲む風習があります。
現在の日本ではアルハラとかでお酒を勧められて断れる風習が出てきましたが、中国ではあまりありません。勧められて断るのは失礼だし、チョビチョビ飲むのも失礼です。ですからお酒が飲めない方は苦労するかも知れませんが強い意志で頑張って下さい。
そして北方では、お酒を飲むときは楽しむことをメインとしています。日本のようにお酒を飲みながら仕事の話をするのも失礼になります。そのためお酒を飲むときはお祝い事やみんなで集まってお酒を飲みながら楽しみますので仕事の話はしないほうが良いと思います。
③南方ではお酒は勧められない
南方の方では、お酒を勧められることは基本的にありません。南方方は自分のペースを凄く大事にしており、さらに飲み方などのこだわりも強いです。北方比べてコップは小さく、飲むときも二口、三口とチョビチョビとお酒を味わいながら飲みます。
そしてお酒を飲むときは仕事での交流シーンが多いです。そのため北方とは違いお酒の場でのビジネストークは問題なく話して大丈夫です。
今後、中国で旅行や仕事をする方へ
①中国人との交流するときは地域を意識する
中国の土地はすごく広大で民族も多く、同じ中国語でも方言がたくさんあります。歴史も古く地域によっては食べるものからお酒の種類や飲み方までもが違います。今回は大きく北方と南方に分けましたが正確には日本の県のように分けられており、違いがやはりあります。中国に行く際は、渡航先の土地のことをしっかりとリサーチしておくことをお勧めします。
②中国人は自己主張がはっきりしている
中国人の方々は自己主張をしっかりとする人が多いので、自分の意見を伝えることを大事にしています。語気が強いように感じることもあるとおもいますが、日本でも関西弁は関東の方からしたら語気が強いと感じると思います。しかし怒っている訳では無く、そういう文化であり特徴なのです。
中国人と交流する際は必ず文化の違いが障壁になってくると思います。日本人が中国の文化を理解し合わせる必要があります。そして受け入れることが人間関係の壁を無くす一歩だと思います。
私自身も幼少のときは中国にいても日本の文化はこうだからと押し付けていましたが、中国にいるのに日本の文化を押し付けて言い訳にしても交流できる訳ないと分かり、交友が増えて馴染むことができました。違う文化に触れて日本の文化の良さも多く感じましたので是非とも海外での時間を良いものにしてください。
まとめ
さて、これまで現地に住んだ経験のある方に中国の食文化やそのマナーについてご紹介いただきました。日本でも同じことが言えるかもしれませんが、中国は広し、それぞれの地域によって食べるものや、マナー、習慣も違うようですね。今後駐在を予定されている人は、ぜひ中国全体として言えることと、その地域独自の特徴や習慣、食文化、特色を学ぶことにも力をいれてみてはいかがでしょうか。
・中国の北方と南方の地域で食文化に違いがある
・中国の北方と南方で味付けも違う
・食事中のマナーは日本と似ているがテーブルマナーには要注意
・お酒の飲み方にも地域により違いがある
・文化の違いをまずは理解すること