中国ビジネス

第4回【働いた人だけが知っている】中国ビジネス体験記『営業職の清水(仮名)さん』

みなさんこんにちは!今回は営業職で中国に勤務していた清水(仮名)さんの体験談をご紹介します!

今回は、仕事の以外の面でも、中国でどのように上手に生活すると、より楽しく、より有意義な中国ライフを送ることができるか、具体的にご紹介します。行く前の心構え、行ってからまずは何に苦労したのか、交通手段はどのようにしたら楽なのかなど、体験談を参考にぜひ今後中国に駐在を予定している方はチェックしてみてくださいね!

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目次

はじめの半年は「何事もスムーズにはいかない」と心得よう

はっきり言って、中国でのはじめの半年間は基本的に何事もスムーズにはいかないと思った方がよいです。そう思っておくことで、うまくいかないというストレスを軽減することもできます。ビザの申請、住民登録、引っ越し、社内外への挨拶まわりなどなど、たくさんの大切なTO DOリストに加えて、通勤、食事などの身の回りのことも文化や習慣が違うので、一つ一つに時間と労力がかかります。しかも、何か問題でもあれば、さらに幾日も時間がかかるのが中国です。

【体験談】
私の場合、中国入国時にはすでに会社が就労ビザの準備をしてくれていました。海外生活で使うことのできる保険も、航空チケットも手配してくれていました。住む家もあとは鍵をもらうだけという状態でした。中国に住む前に、実は何度も中国各地を旅行していたので、中国のことを分かっていると自負していました。これで準備万端です。大好きな中国で仕事ができるなんて!とウキウキできていたのは、渡航の機内まででした。

渡航日当日、空港まで迎えに来てくれていた車の運転手が、市内のホテルまでの道のりをとんでもないスピードで爆走し、車酔いで気絶寸前。夜ご飯は美味しいものをと思い入った店のメニューが文字だけのメニューで中国語の意味が全く分からず、注文したものが「思ってたのと違う!」状態。2日目の出社では日本語の挨拶にみんな無反応。退勤後は自分の家の掃除や引っ越し。何日かして、事務の中国人のおばちゃんに健康診断に行ってこいと言われ、指定された場所へ行くと顔写真が必要で受付できないと言われ、近くの写真屋さんを紹介されるが、中国語しか通じず、1時間以上かけて証明写真を撮影する。次の日、今度は「住民登録はしたのか」とおばちゃんに言われ、盲点だったと思い、すぐに警察に行くが外国人が来たとのことでたらい回しにされる。また数日後、今度は入管に行ってこいと言われ、ビザの申請をしに遠くの入国管理局に行くが、待ち人数が35人!ガーン!結局その日は入管で2時間程度待たされることになり、仕事はあまりできず。どこに行っても人の多さに圧倒。出勤時のバスも時間通りに来ない。同じバスの番号に追い抜かされたりもする。一体何なんだ…、と入国1か月でかなり打ちのめされました。

中国では、「えええ~!!!」というような思わぬこと、予想外なことがよく起こります。ですので、中国の生活に慣れるまでは「基本的に何事もうまくいかないかもな」と思っておいた方が気が楽です。

郷に入っては郷に従え

①異文化にすんなり適応できる人はすごい

私は、国際人とは中国でもうまくやっていけるし、日本でもうまくやっていける、柔軟な頭を持っている人だと思っています。異文化にすんなり適応できる人は本当にすごいなと思います。中国と日本は近い国ですが、習慣が違います。その違いを受け入れ、入り込んでいくことで、より生活しやすくなることは間違いありません。また、できるだけたくさんの中国人の友人を作ることです。相談したり、話を聞いてくれたり、何かあったときに頼りになるのは、やはり現地の人です。

【体験談】
私は近くの朝ごはん屋さんで、毎日朝食をとっていました。その朝食屋さんはとても人気があるようで、朝はとても込み合っていました。注文するのにボタンや順番などありません。みんな大きな声で「おかゆ!」と言いながらお金を手で持って見せて、それにお姉さんが気づけば席まで来てくれます。はじめは大きな声を出すことが恥ずかしかったですが、ある日思い切ってやってみようと思い、人ごみの中、大きな声で「ショウロンポー!!」と叫びました。ダメです。しかし、諦めません。もう一度、「ショウロンポー!!」と叫びました。すると、お姉さんが気づいてくれて、やっとお目当ての小籠包を食べることができました。

②中国での驚いたこと

中国で生活をしはじめてすぐの頃は、本当にびっくりすることが多かったです。日本と全然違って、面白いけど、適応するのには時間がかかりましたし、自分なりに中国の習慣やルールをつかむのには苦労しました。

【中国で気づいたルール】
・大きな声の人の方が有利
・交差点では一番大きな車が有利(人の優先順位は最後)
・しかし、バスに間に合いそうになく猛スピードで走っている人、道端で喧嘩している人など、目立っている人は車もよける
・お釣りは投げられることがあるし、逆にお金を出すときにポイっと出しても大丈夫
・基本的にフレンドリーで、道端で知らない人によく話しかけられる
・割り勘はあまりしない
・面子を重んじるが、責任は持ちたくないというスタンス
・時間通りに動かない、時間にルーズ
・しかし、昼休みはきっちり時間をほしがる

などなど、日本との違いはたくさんです。上記のことを日本との習慣の違いと言ってよいかはさておき、中国での生活の流れ、常識、ルールがあります。

③中国人の友達を作るとよい

中国では、やはり現地の人同士の方が話が通じるといいますか、何か問題が起こった時に解決しやすいという傾向があると思います。自分が仕事でも生活でも困ったときのことを考えて、ぜひ中国の友達をたくさん作ることをおすすめします。

【体験談】
実は中国で猫を飼っていた時期がありました。急遽私が日本へ帰国しなければならなくなり、仕方なくアパートの不動産屋さんに「猫にときどきご飯をあげてもらえませんか」とお願いしたところ、「いいよ」との返事がきたので、心配ながらも日本へ1週間ほど帰国していました。そして、中国に帰ってきたとき、家には猫はいませんでした。不動産屋の担当者に「猫はどこに行ったか知らない?」と連絡すると、「猫は逃げた」とのこと。「そんな~!!!ひどい…。」中国語で問い詰めるのが難しく、どうしようかと思い、仲良くしていた中国人の友人に相談しました。その友人から「猫は逃げたか、もしくは売られた可能性もある」と言われ、さらにびっくりしました。「私の大切な猫を売った~!!!???」信じられない。しかし、心優しい友人は不動産屋に「猫にかかった飼育代と猫の購入代を支払え」と交渉してくれ、とりあえず解決の方向へ向かいました。

職場で信頼関係を作るには

①仕事ができるかは二の次

私は中国で営業の仕事をしており、多くの日本企業をみてきました。職場で中国人スタッフと上手に関係を築いている人には特徴があります。中国人のスタッフからすれば、仕事ができる人かどうかは二の次で、自分たちの文化や習慣を理解してくれている、そして気さくに話したり仲良くしてくれたりする人の方が好まれると思います。1人で仕事を黙々として社員の輪の中に入ってこない人は、スタッフからも距離を置かれます。

【職場で自分が上司ならば】
・中国の文化、習慣を理解している人
・話や冗談が上手い人
・飲みに連れて行ってくれておごってくれる人(ケチじゃない人)
・仕事を助けてくれる頼もしい人
・日本の習慣を押し付けてこない人
・中国語がうまい人
・面子を大切にしてくれる人

日本で真面目に仕事をしてきた人には、とても難しいこともあるかもしれませんが、リア充で、話好きで、「人生楽しんでいる」感を出している人ほど受け入れらえるように思います。

生活のノウハウを身に付けよう

中国に駐在していると、仕事ではうまくいかないことがあると思います。さらに、生活面でも何かうまくいかないことがあるとその日の気分は最悪になってしまいます。以下、私が生活面でうまく利用していたサービスやノウハウをご紹介します!

①乗り物について

・バス、地下鉄、タクシーなど行きたい場所へどれが最適か判断できるように街の地図を頭に入れておく
・バス、地下鉄、タクシーの乗り方は中国人に教わっておく
・バスは時間通りに来ないのと、渋滞があるので、時間に余裕をもって行動する
・バスは現金ではなく、バスカードを作りタッチパネルで支払うこと
・バス路線は、空いていて渋滞の少ない路線を徹底研究する
・地下鉄は地下鉄カードを作ってスムーズに改札口を通れるように
・地下鉄は混雑している線があるので、時間帯や駅を少しずらすと良い
・タクシーは朝や夕方はなかなか捕まらないので、アプリを使う

②食事について

・中国語の文字だけのメニューしかない店があるので、メニューの中国語をまず勉強する
・中国では残った料理をお持ち帰りすることが普通なので、遠慮なく「打包(持ち帰る)」とスタッフに伝えると包んでくれる
・お店では順番などないので、大きな声でアピールする
・出前の文化がとても発達しているため、アプリで出前を取る
・出前は、野菜やお肉など総菜以外の出前もあるので利用する
・家で料理をする時には、野菜はしっかりと洗う

③家での生活について

・水は買ってくる
・シャンプーやリンス、石鹸など体に直接触れるものは日本製を使う
・日本のテレビを見ることができるようにネット回線を業者に設定してもらう

④荷物の輸送について

・EMSで送る(中国の郵便局へ行くとスタッフさんはみんなEMSに慣れています)
・時間をかけてよいものは、船便で安く送る(ただし、ダンボールをボコボコにされます)

人の多さをうまく回避しよう

①チケットの購入について

まず、チケットはすぐになくなります。中国にいると、旅行に行く機会もあるかと思います。チケットの購入についてですが、ポイントは即決です。

例えば、まだホテルの部屋が空いているから明日でもいいや、とほっておくと、次の日には空室がすべて埋まっていることがあります。これは航空チケットもそうです。中国には日本の人口の10倍以上の人がいるわけですから、10倍の速度でチケットもなくなっていきます。その時その時で、「これがいい!」と思ったものは、すぐに購入すべきです。

②病院について

さらに、病院を受診する際にも注意が必要です。海外保険によっては指定された病院でしか受診できないことがありますので、間違っても現地の病院には行かない方がよいです。病院によっては外国人の病棟がありますので、それが一番良いと思います。

【体験談】
私はこれまで色々なケガ、病気をしてきました。バスに乗っていたとき、急にめまいがして、停留所で倒れこむように休んでいました。私を誰も助けてはくれません。中国では、救急車を呼んだ人がお金を支払わなくてはならず、そして倒れ込んでいる人に関わりたくないというのが本音だと思います。ですので、気分が落ち着くまでしばらくバスストップで横になり、職場の同僚に電話をして迎えに来てもらいました。そして、一緒に病院に行ったところ、長蛇の列…。さすが中国の人の数は違うなと思っていると、こちらに来てお金を支払ってくださいと言われました。中国では、基本料金をまず先に支払い、診察後にまたお金を支払います。私は海外保険に入っていますというと、「ちょっと分かりません」と言われ、保険会社に電話をすると、指定の病院でないと保険はきかないとのこと。「ちゃんと確認しておけばよかった~!!!」と後悔の嵐が襲ってきました。が、諦めて受診しようとすると、廊下で点滴をしている人、受診している真後ろで次の診察を待っている人、待合室はあるものの溢れかえっている人、人、人!それから、必ず外国人用の病棟のある病院へ行くようにしました。

お金の上手なやりくり

①安いものは安く、高いものは高く

中国は、安いものは安く、高いものは高いです。日本で安いものも、中国では高級品だったり、その逆もあります。フルーツなどはとても安いです。中国に行って驚いたのは、チョコレートがやけに高いことでした。基本的に飲食は日本よりも安いのですが、チョコレートは輸入品が多かったのか、とても高かったです。しかし、洋服は安かったです。ですので、安いものは安くすませ、高いものは安全安心のために高いお金を支払ってもよいです。

②両替について

中国のお金事情について、どうやりくりするのがよいのか、私の結論は生活費は銀行デビットカード、給与の支払いは半分は日本の銀行へ、半分は中国の銀行へ、そして両替は友達とすることです。

両替は、散々試しました。空港、銀行、両替、両替商、などなど。もちろん、両替商が一番手数料は安いですが、偽札を渡される可能性もありますので、手を出さないほうがよいです。私がおすすめするのは、今度日本へ行く中国人の友人と日本円と中国元を手数料なく両替してもらったり、逆に日本から来た日本人と自分のもっている中国元を交換してもらうことです。

情報ゲームの世界で生き抜く

中国はネットの情報社会だと思います。つまり、インターネットで何でもでき、ネット上に情報が錯綜している世界です。日本以上です。真実の情報と、そうでない情報が入り混じっている、そんな社会です、まず、基本的に「嘘かも」と疑ってください。

【体験談】
中国のテレビで報道されている日本の情報にも注意が必要です。例えば、私が中国にいたとき、日本の原発事故で海の塩が汚染されるため、塩を常備した方がよいというネット上でのうわさが広まり、スーパーから塩がなくなるという事件がありました。私はすでに数年中国で生活していたので、「そんなはずはない」と特にアタフタはしませんでした。何が真実で、何が単なるうわさなのか、最終的に判断するのは自分自身です。自分を強く信じて、間違った情報に惑わされないようにしましょう。

私は、日本のテレビを家で見ることができるようにしていたため、ニュースは日本のニュースを毎日見ていました。ネットニュースは、毎日日本のNHKサイト、ヤフージャパンのサイト、中国のCCTVのサイト、アメリカのCNNをすべてチェックしていました。中国で中国のニュースばかりみるのではなく、同じニュースを他の国はどのように報道しているのかをチェックしていました。中国では様々な情報やうわさが飛んできますが、私は色々なサイトで必ず調べるようにし、できるだけ正しい情報を判断できるノウハウを身に付けるようにしていました。

日本人とみせかけるときと中国人になりきるとき

中国でうまく生活するためには、日本人です!とアピールするときと、中国人になりきるときがあっても良いです。習慣や文化を尊重し受け入れるという意味以外に、中国人のふりをすることで騙されたり、盗まれたりする機会がグンと減ります。

中国に住み始めて間もない頃、おしゃれをしてウィンドーショッピングをしていたとき、後ろからカバンを半分開けられ、財布を盗まれそうになったことがありました。プロはすぐに「この人隙のある外国人だな」と分かるようです。確かに、私は日本人として浮いていたと思います。それ以来、カバンはしっかりと脇で抱えて持つようにして、服装や髪型も中国で流行っているものを身に付けたり、しぐさも中国人の友人をみてまねたりしました。中国人にならなくてもよいですが、中国人を演じるスキルは必要だと思います。

逆に、高級ホテルでは堂々と日本人ですとアピールした方がよいと思います。また、トラブルが起きたときに、「中国語が通じないの、ごめんなさい」というだけで、「じゃあいいか」と相手が色々とあきらめてくれるときもあります。

まとめ

さて、これまで中国で上手に生活するPOINTをご紹介してきました。違う国で暮らすということは、楽しいばかりではなく、難しく、ストレスがたまるときがあるかもしれません。それは、今まで日本で身に付けてきた習慣を、ゼロから作り直すようなもので、労力が必要だからです。ぜひ、ご紹介したPOINTを参考にしていただき、中国で上手に楽しく生活してほしいと思います。特に駐在を予定している方にとっては、生活がスムーズになればなるほど、習慣の違いを嗜む余裕も生まれ、仕事もさらに充実したものになることでしょう。

気をつけるポイント!

・中国の習慣や生活上のルールを把握すること
・中国人の友達をたくさん作ること
・職場では中国人の習慣や面子を重んじること
・生活のノウハウを身に付けると仕事にも良い影響がある
・たくさんの情報の中で正しいものを選択すること