中国ビジネス

第7回【働いた人だけが知ってる】中国ビジネス体験記『代理店勤務の小松(仮名)さん』

みなさんこんにちは!今回は代理店勤務で中国駐在経験のある小松(仮名)さんの体験談をご紹介します!

小松さんは、中国市場へ進出する日本企業に対してマーケティングソリューションを提案するなど、SNSやECの広告コンテンツの企画、制作、分析、PR戦略まで幅広くお仕事をされていたようです。所属部署もほとんどが中国出身で若い人も多く、現代の中国ビジネスを知る上でとても参考になりますよ!

中国人の仕事スタイルや仕事上での注意点、実際の経験談を交えて、紹介していきます。今後、中国人と携わる方々にとって役に立つ参考になれば良いと思います!

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目次

中国ならではだなと感じた仕事の経験談や失敗談

□意思を固めること
□はっきり言うこと
□言動には責任をもつこと

この3点は中国人との仕事上はもちろん、社会人として意識するべきことだと感じます。具体的に、2つの経験談をもとにお伝えします。

①我慢せず、伝えること

日本企業では給与に見込み残業が含まれるほど「残業が当たり前」という風潮が昔からあり、また残業時間超えるとその分上乗せ計算し、雇用者に支払われます。

しかし、中国では、プライベートを優先する上、残業はあまりしません。そのため、残業に対する認識が低く、残業手当の制度も十分ではないです。

日本は他の国とは違い、周りの人に気を使う人々です。有休を取りづらい環境や上司がいる間は帰りづらいなど悩みを抱えている人もいるでしょう。

人によっては残業申請を遠慮してしまい、結果サービス残業をしてしまうなど、どうしても周りとの調和を考えてしまいますが、自分の仕事が終わっているのであれば帰宅してしまうことには問題ありません。また、勤務時間外の残業はしっかり上司に伝え、申請すべきです。

【体験談】
広告業界では、外部イベントや展示会、更には中国市場に向けたライブ配信をはじめとしたオンラインイベントなどがあります。その際、朝早くから夜遅くまで仕事をする必要があります。そのほか、深夜でも遠慮なく仕事メッセージが飛んできます。当然、規定勤務時間を超えてしまいます。しかし、先ほどもお伝えしたように、中国企業では残業時間に対する認識は低く、私の場合は支払われない場合もあれば、イベントごとに一律手当が支払われることもありました。このように、残業手当の支給について不透明な部分があったので、自分で一度残業時間計算し、上司に申請しました。このように、残業時間を自己管理し、はっきりと伝え、支給できる環境を自ら作るべきです。私は、入社した1年後ぐらいにようやく上司などに言えるようになったので、この記事を読んだ方々には早めの行動をお勧めしたいです。ある意味「空気を読まないこと」も大切です。

②予想外の事態にも備えること

日本では、一般的に申し出から2週間での退職が認められますが、多くの会社では退職の申し出は1~2ヶ月前となっています。なぜなら、2週間前では人員補充が間に合わない、業務の引き継ぎに支障が出るなど問題が起きやすいためです。

また、会社から引き留められるなどのケースも多いため、予定より早めに伝えておくのがベターと考えられます。円満退職のためには2ヶ月前に申し出ると安心でしょう。

このように、退職を1ヶ月〜2ヶ月前に申し出ることが多く、申し出た後は引き継ぎ業務や残り業務を整理することがほとんど基本となっています。

【体験談】
私自身の経験談にはなりますが、業務の引き継ぎをするために余裕を持って2ヶ月前に中国人上司に退職の意思を伝えました。しかし、予想外に上司が感情的になり、次の日から出勤停止と「退職」扱いになってしまいました。
物事を進める上で、何事も「当たり前ではない」と認識するべきです。自分自身の中で当たり前だと思うことでも、その知見を持って物事に立ち向かうと返って困惑をしたり、悲観的になったりするでしょう。
中国人と接するときは、予想外の事態に対して「このような事態もあるんだな」と気持ちに余裕をもつことを意識するべきです。このように、仕事をする上では予想外な出来事に備えて、対策法や選択肢を常に考えたることが必要です。また、自分自身の言動に覚悟を持つことで、気持ちが少し楽になります。

私の退職経験談は一例ですが、そのほか、中国人の友人からは中国取引先から突如の業務停止や取引中断などは多々あると聞いています。

中国で仕事する上で注意した方がいいこと

①中国のカレンダーに注意せよ

中国本土や日本から中国国内向けのマーケティングを行う上で、中国カレンダーは要チェックです。一歩間違えれば、莫大な罰金やブランド損害、クライアントの信頼を失うなど企業にとって致命的に陥ることがあります。

【実際の出来事】
実際、2021年ソニーグループが「7月7日午後10時に製品を発表する」と予告広告を出し、100万元(1800万円)もの罰金を支払うことになりました。その原因は、日中の歴史に遡り、84年前の7月7日夜、日中戦争開戦のきっかけとなった「盧溝橋事件」です。ソニーが新型カメラを発表するという予告広告を出したのは6月30日。中国のネット上では、日本企業が盧溝橋事件勃発と同じ日時にタイミングを合わせて製品発表するのかという批判が殺到しました。結果、ソニーは予告広告を出した翌日の7月1日に広告を削除し、謝罪を行いました。

中国国内では愛国心が高く、中国ビジネスを行う上で、中国の歴史や現地人の感情を害しないように十分に注意を払う必要があります。

逆に、中国カレンダーを把握しておくことで、敏感な日付を避け、中国の祝祭日や記念日などに合わせた取り組みを実施していくことで効果的なビジネスに導くことができるでしょう。

中国でビジネスをする上でのコツ

①トレンドキャッチ、常にアンテナを張れ

中国は、流行り廃りもスピード速いです。市場やトレンド、消費者のニーズが常に変化し続けていることが特徴であります。

また、そのような環境では日本企業のように、上層部の決定を得るまでに数日から数週間を要することはなく、中国企業では即時に決定されます。日本企業にはないスピード感でしょう。

そこでポイントとなるのは、情報にアンテナを張ることです。

インターネットが進化している中で、もはや今は「情報洪水状態」です。そのような状況下で、我々が日常に触れられている情報は1割も満たしません。

つまり、スピードを争う環境では、自ら情報取りに動き出さないと中国市場への理解や変化に追いつかなくなる可能性があるでしょう。

気を重く考えなくて大丈夫です。毎日5分から10分ほどのスキマ時間に中国ニュースや記事、コンテンツなどをチェックするようにし、常にアンテナ張る習慣を作りましょう。

そこで、いくつかお勧めの中国アプリツールをご紹介いたします。用途やご自身の好みに合わせて試してみてください。

②weibo

Weiboは中国版Twitterと呼ばれており、中国では若者を中心に芸能人から歌手など様々な方々も利用されています。

気軽くサッとみることができ、タレント情報や中国人消費者の口コミや関心事を探ることができます。

③Douyin(抖音)

みなさんのお馴染みの国際版「TikTok」に代わって、中国版「Douyin」です。

DouyinとTikTokのリリース時期のずれはたった一年ですが、DouyinはTikTokよりもはるかに高度な機能とマネタイズ機能を備えています。個人チャット、グループチャットなどのSNSとしての利用や、ショッピングできるEC機能などがあります。

また、中国のDouyin(抖音)は若者だけではなく幅広い年齢にしようされており、日常生活の一部になるほど愛用されているアプリです。

④今日头条

今日头条は抖音で有名なBytedance社がリリースしたニュースアプリです。

最新ニュースの情報が詰まっているため、じっくりと読み、内容の理解深めることができます。ある程度中国語に自信ある方は、ぜひ学習代わりに使用することもお勧めです。

⑤RED

「小红书」は、中国人女性の間では知らない人はいないといわれるほど有名な女性向け美容アプリです。

ジャンルは多岐にわたり、メイク、スキンケア、旅行、グルメ、ファッション、インテリアなどがあります。女性トレンド分析する際に欠かせないツールです。

⑥自分から進んで仕事する人が評価される

ピラミッド型の組織構成の日本企業と比べて、中国のハイアールなどの民営企業では欧米型の成果主義が導入され、個人が能力を発揮しやすくなっています。そのため、中国企業や中国人上司は自ら進んで仕事をする人を評価します。

一般の日本企業では、昇進、出世するには、勤続約3年以上といった経験がないとなかなか出世できず、また給与も上がりませんが、中国では20代後半〜30代後半の給料が50代の給料を上回ることも珍しくありません。

実際、私は入社1年目で2回昇給し、他の先輩よりも高く評価されたこともありました。

近年、日本国国内でも年齢関係なく実力主義なベンチャースピリットを持つ企業が増えている傾向です。このように、若者が活躍しやすい場や機会が多くなったと感じます。

⑦「人」を見極め、人脈・人情を大切にせよ

中国は特に人脈社会であり、実際にプライベート生活、仕事に関わらず、重要視されています。

日本ではチームワークを大切にしますが、中国は個人主義で肩書きを評価します。いかに人脈を持っているかが出世につながる鍵になります。

例えば、中国では二人以上の人が集まると写真を撮りたがります。これは単に写真好きだからではなく、写真を見せることで「私は◯◯さんと知り合いだ、コネがある」とアピールできるからです。また、人脈を広げることで巡ってくる機会も増えます。

そこで注意して頂きたいのは「見極め」です。

人とのつながりを大切にして人脈を形成することは、ビジネスする上で欠かせないことですが、周りの人に気を使う日本人にとっては、場合によって対人関係のストレスになりかねません。

そのためには、仕事関係かプライベート関係か、相手とどのように付き合っていきたいか見極めましょう。また、「イエス」と「ノー」をはっきり言えるようした方良いです。中国の方はとてもストレートで、拒むことに対しても言い・聞き慣れているので、思う以上に負担に考えで大丈夫です。

中国で働くことで得られる経験や能力

①固定概念を払い、物事に対し寛容的になる

本記事でお伝えしように、中国ビジネスをする中で予想外な出来事が多々あります。自分自身が今まで当たり前だと思っていたことが180度転換することもあるでしょう。そのような環境下にいることは、自然に物事に対して寛容的な行動や考えが養うことになります。

また、問題が発生したときに冷静に対応できる柔軟力が身に付くことができるでしょう。

②仕事のスピードが上がる

残業文化」がない中国人ビジネスマンは、仕事の効率が良く、スピード感があります。彼らは普段から自分に「できること」と「できないこと」を理解し、権限範囲を上司と相談しておいてから業務に取り組みます。そのため、周りの人も上司もある程度業務の進捗を把握することができ、ほとんどが時間内に業務を終えることができます。

また、中国では上層部の決定が即時のため、業務に取り組むスピードが速いです。トライアンドエラーの文化持つ中国では、とにかく手を動かし、とことんと進めていきます。

そのような上司と社員と共に働くことで、自分自身の成長につながることは間違いないでしょう。

③視野幅広がる

日本企業と異なる環境で働くことによって、多様な文化や価値観を知り、様々な国の人と触れ合うことができるので、多くの物事を客観的に見ることができるようになります。

海外にはない日本特有のビジネス精神はやはり良いものだと再確認できたり、逆に日本の企業に足りないものに気づけたり。違いを認め、受け入れることで、自分にとって大きな経験となり、「視野の広いグローバルな人材」に成長することができます。

中国で仕事を挑戦してみたい人へ

中国の経済成長は目を見張るものがあります。これからの日本経済において、中国が重要な存在となることはいうまでもないでしょう。

また、中国市場は日本の10年先進んでいると言われています。中国ビジネス経験ある人は、多くの企業にとって重要人材であり、キャリアアップにも近づきやすく、優遇もされやすいです。

はじめの一歩はとても勇気いることですが、ぜひ中国ビジネスに興味ある方には身近でできることから始めていただきたいです。

日本国内でも中国向けのビジネスや関連した仕事が多くあります。海外渡航が規制されている現在、日本国内で探してみませんか?

気をつけるポイント!

・「イエス」「ノー」をはっきりする
・言いたいことははっきり主張する
・予想外のことにも対応できるよう備える
・中国のカレンダーを要チェック
・情報アンテナを常にはっておく
・人脈や人情を大切に
・スピード感のある職場についていく